Fou

gaylog

アライ

 幸いなことに人権意識の高い会社、少なくとも部署に勤めているので手を顔のそばに当てて「もしかしてそっち系?」的ハラスメントを目にすることはまずない。代わりに、同性愛者に係る問題に関心があると公言する人、アライを自称してPCステッカーを貼る人、社用ストラップにレインボーバッジをつけている人などがいる。結構なことである。

 時折、彼らにいきなりカミングアウトして、VEROの画面でも突きつけてやりたいような露悪的な気持ちになる。自身の男性器や性交の様子をクリエイター向けのSNSにアップしている20代、30代、40代、等々を見て彼らはいったいどんな顔をするだろう。「それも”ダイバーシティ”だよね」と言うのだろうか。結局この春のレインボーパレードでもなぜ裸になる必要があるのかを説明してくれる人はいなかった。

 でもそれって男には女の気持ちはわからない的なことを言う銀座のレストランに籠バッグで来るような女と何も変わらないじゃん。相互理解、歩み寄りの姿勢、相手の立場に思いを馳せる姿勢が大事だよね。リベラルな私が嗜める。でも実際、私には男の気持ちも女の気持ちもVEROで男性器を晒す人たちの気持ちもわからない。というか、人の気持ちはどこまでいってもわからないし興味もない。そしてまた歩み寄る姿勢が大事だと私に怒られる。

 今週はなんだかどっと疲れた。暗い部屋で椅子にもたれ時折頭を上に向けて口をパクパクしながらこんな仕様もない日記を書いている。ウイスキーを注いだグラスの氷はすっかり溶けた。明日はアイロン掛けができるといい。